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藁の来訪神・加勢鳥。冬の東北・山形へ。

「カッカッカーのカッカッカー」。独特の掛け声とともに、藁(わら)をまとった若者たちが舞い踊る。山形県上山市の民俗行事・加勢鳥(かせどり)は、明治時代に一度途絶えながらも、地域の有志によって復活を果たした「神の化身の来訪行事」です。

数ある日本の祭りの中でも、「奇祭」として名高いこの行事は、いつか見てみたい憧れの祭りの一つでした。今回のJournalでは、上山市の街を包み込んだ熱狂と、藁に包まれた神様が振りまくユーモアな伝統を紹介します。

旅の始まり:北陸から山形へ

金沢から北陸新幹線に乗り、大宮で乗り換え、山形新幹線で「かみのやま温泉駅」へ。 初めて訪れる山形の地。一体どんな景色が待っているのだろうと、わくわくしながら車窓を眺めていました。

米沢、赤湯。通過する駅ごとに広がるのは、見渡す限りの銀世界。「東北の冬は、やはり格別だ」とその雪の多さに圧倒されていましたが、いざ「かみのやま温泉駅」に降り立つと、そこには雪のない乾いた路面が広がっていました。予想外の光景に逆に驚きましたが、街の至る所に貼られた「加勢鳥」のポスターを目にしたとき、明日始まる熱狂を静かに告げられているような気がしました。

湯の町、上山を歩く

山形県の南東部、蔵王連峰のふもとに広がる上山市。人口2万7千人ほどのこの街は、お城や宿場町、そして温泉の街として古くから親しまれてきました。かみのやま温泉駅から10分ほど歩くと、どこか懐かしい温泉街の雰囲気が広がっています。「明日、この穏やかな街はどんな雰囲気になるのだろう」と楽しみに、かみのやま温泉駅周辺を散策しました。

城下に響く、神の産声

そして迎えた、2月11日。上山城を望む広場で神事を終えると、円になって舞い始めた加勢鳥たち。今年は山形県内外から38羽が集結し、「カッカッカー!」と独特の掛け声が響き渡りました。「ケンダイ」と呼ばれる藁蓑(わらみの)をかぶって舞う姿はまさに異様な雰囲気で、どこか可愛らしくも感じます。

「これが見たかったんだ」と個人的にも感動的な瞬間でした。加勢鳥はA・Bの二手に分かれて街中を巡りますが、僕は今回、B班の道中を追いかけることに決めました。

神の化身が浴びる祝い水

城下町を練り歩く加勢鳥に、容赦なく浴びせられる「祝い水」。時折小雨が降る天候の中、加勢鳥たちは指先が凍えるような寒さだったに違いありません。それでも大きな掛け声とともに力強く舞い続ける姿は、見ていてとても清々しく、地域には笑顔が溢れていました。

五穀豊穣と家運隆盛をもたらす神の化身は、厳しい冬を祈りと笑顔で溶かしていく、人々の温かさに触れる一日となりました。個人的には2年ぶりの東北の祭りでしたが、かみのやま温泉も満喫することができ、心身ともにリフレッシュできる時間となりました。

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